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2007年

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2007年03月12日 第13号 https://fmic.jp/

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FMICはJMAC(日本能率協会コンサルティング)とドイツのIMIG社による戦略的合弁企業として設立されたコンサルティング企業です。企業の成長 戦略デザインとその実現化プロセスをサポートします。

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~未来開発経営/戦略デッサンノート(11)~
「SHINKA(伸化)戦略・破壊的イノベーションを描く」 
                          FMIC 大岩和男・岩崎壽夫

未来開発経営の基本コンセプトは「未来は来るものではなく創るもの」です。
未来開発経営では、事業戦略革新の方向を考える視点として、SHINKAマップを活用します。SHINKAにはいくつかの種類があるのですが、基本的な視点としては次の4視点です。
  「深化」・・コアコンピタンス深耕
  「進化」・・バリューチェーン発見
  「伸化」・・未来市場への挑戦
  「新化」・・破壊的イノベーション
前回はこの中から、「SHINKA(伸化)戦略・未来市場への挑戦」ということについて、ふれさせていただきました。今回は引き続き、「SHINKA(新化)破壊的イノベーションを描く」ということについて、考えてみたいと思います。

「破壊的イノベーション」という言葉は、クリステンセン著の“イノベーションのジレンマ”に登場する概念です。クリステンセンは、イノベーションには「性能向上等のあたりまえのイノベーション」と「市場を劇的に変容させてしまうようなイノベーション」があることを、いくつかの事例を通じて説明しました。前者を持続的イノベーション(Sustaining Innovation)後者を破壊的イノベーション(Disruptive Innovation)といいます。Disruptiveを破壊的と訳すのは違うのではないか、という人もいますが、すでに多くの企業で「破壊的」と使われていることもあり、他の関係図書でもこの言葉が使われているようです。

では、破壊的イノベーションとはどんなものをさすのでしょうか?いくつかの事例について見てみましょう。

(1)ヤマト運輸の宅急便
ヤマト運輸は1975年には売上高350億円、利益率0.1%という低収益企業であった。そのような状況の中で、小倉昌男氏を中心としたチームは、当時鉄道や小包しか方法がなかった個人貨物を対象にして「小口配送・全国どこでも翌日配送」の宅急便を事業化。2005年には、1兆1,000億円に成長。他社も参入し、宅配という新たな産業が創造された。
(2)シスコ・システムズ
シスコ・システムズは、スタンフォード大学の Len Bosack と SandyLerner が1984年に創業。インターネット時代を先取りして、パケット交換方式によるデータ通信を行うためのコア装置として、ルーターを実用化。大手通信機器メーカーが、従来型の交換機性能向上に忙殺される間に、ルーター市場を事実上独占。
(3)内視鏡手術
オリンパスに代表される内視鏡製品は、いまや診断のみならず、手術機能が高度化してきている。内視鏡を使った手術は、単純な処置しかできなったので、当初は一流の外科医からは軽視されていた。だが、技術向上により、今では複雑な手術も可能となり、患者の負担軽減に貢献している。
(4)リナックス
ソフトウェアの開発において「オープンソース」という手法を活用して独自のOSを構築。事実上、マイクロソフト1社に独占されていたOS市場に新たな流れを構築。いまでは、携帯から複雑なシステムまで使われている。
(5)デジタルカメラ
CCDの発明から20年後に、カシオQV10として商品化。以降、急速な発展をとげて、従来の銀塩写真市場を破壊。写真や記録、コミュニケーションの分野に新たな市場切り開いた。

未来開発経営における新化戦略とは、破壊的イノベーションに相当するような発想で、次世代の経営・事業・サービス・製品を構想しよう、というものです。もちろん、そのような構想案が簡単に生まれるわけではありませんし、そのような事業が、次から次に生まれるわけでもありません。しかし未来開発ワークショップやコンサルティングの現場では、他のSHINKA(深化・進化・伸化)に比べて、より多くのチームやメンバーが、この困難課題を選択します。他の3分野は比較的、従来型の戦略論や発想論で考えられるの対して、新化戦略分野は、アプローチそのものから構想をする必要があるので、想像性や創造性が刺激されるからでしょう。

新化戦略で重要なことは“未来の描き”それ自体です。新化戦略の思考にそった構想案に対しては、初期の段階で、多くの場合、下記のような反応が出ます。
・何を言いたいのか?まったくわからない。
・今の我が社のコアコンピタンスと何の関係があるんだ。
・無反応・・・・・・。

このような状況の中で、未来開発チームは2つの選択ができます。
①大多数の意見に迎合する。
②あえて、自らの構想を掘り下げてみる。

未来開発経営的には、もちろん②がお勧めです。単なるこだわりではなく、未来への洞察があるならば、自らが信じる構想を具体化しつつ、議論や提案をする。言うのは簡単ですが、企業の中では、結構、勇気のいる行動です。しかし、やがて・・・
・あまりにも跳んだ発想のまえに上司も部下もなく議論が沸いてくる。
・湧き出した多くの議論の中から、飛躍的な構想が生まれてくる。
・“そういえば”という形で、今まで、見えていなかった事が兆しとして見えてくる。
・そして、自社として取り組むべきひとつの方向が見えてくる。
それが“新化戦略の真髄”です。“わからない!”と言われるくらいの次元で新たな構想を練り、それを経営幹部やメンバーが一体となって議論できるような会社は、総じて元気な会社です。

新化戦略の重要なことは、新化という視点で考えることを通じて、思考のDisruptive(混乱)Innovationを起こすことであるともいえるでしょう。もちろん、単にDisruptiveで終わってしまっては意味がないので、未来開発経営では、未来設計のための検討ガイドやファシリテーションを通じて未来開発チームのサポートを行っています。

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◆◇◆編集後記◆◇◆

桜並木に何本かの満開な桜がありました。3月上旬、早咲きする品種ですので寒桜かなと思います。また夢見草とも呼ばれる桜。日に日に暖かくなり、心地良いからといって、仕事中うつらうつらしないように、気を付けなけれ
ばなりません…

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