未来づくりの知恵袋

記事・投稿

未来戦略シナリオ

 

【ビジネススキル】 未来戦略のススメ

(第3回)SWOT分析で「次の一手」を!
~強み・弱み・機会・脅威を分析する~

機会・強み見つけ前向きに

SWOT分析とは、自社の強み(Strength)と弱み(Weakness)、市場の機会(Opportunity)と脅威(Threat)という視点からの戦略分析手法です。SWOT分析の着眼は、ハーバードビジネススクールで開発され、現在では普遍的な戦略検討ツールになっています。

SWOT分析は事業戦略を内部の視点と外部の視点から総合的に検討するためのツールです。現在のように厳しい事業環境下においては、ますます外部思考の重要性が増しています。特に、現状が行き詰りつつあるなかでも「挑戦的に次の一手を発見しよう」という人にとっては優れた思考フレームワークとなるでしょう。

A社デジタルカメラ事業のSWOT

任天堂のケースでみてみましょう。2002年頃のゲーム産業はハードの高性能化に伴い、徐々にユーザー離れが進行していました。これは任天堂にとって、脅威であると同時に、本来の強み発揮の機会でもありました。「そもそもゲームは誰のためのものか?」。客観的な見方で市場を研究し提案された「DS」「Wii」は、家族皆が楽しめる新しい分野を切り開きました。

次に、SWOT分析の検討手法について説明します。SWOT分析の第1段階は戦略仮説の設定です。SWOT分析を効果的に活かすためには、現在の事業に対して、どんな戦略転換や次の一手を打っていくかの仮説が必要です。この段階での仮説は、完成したものではなく「こうありたい」という想いでも十分です。むしろ、その想いをもつこと自体がSWOT分析を活かすことにつながります。

第2段階は事業の外部環境分析です。外部環境分析の対象は顧客・社会・競合・業界変化等です。とくに、市場や顧客の変化、その要因、価値観の変化等は重要です。外部環境分析の結果は「機会」と「脅威」に層別します。機会とは将来の可能性、顧客の拡大、事業の発展、収益の拡大等につながる要素です。

第3段階は事業の内部環境分析です。内部環境分析の対象は現在の事業コンセプト・これまでの戦略・組織体制・人材・商品力・技術力・資源等です。内部環境分析の結果は「強み」と「弱み」に層別します。ここで「強み」の認識は要注意です。これまでに蓄積されてきた成功体験やコア競争力は、ともすると安易に強みにされがちです。「今日の強みは明日の弱み」という考え方で注意深く検討することが必要です。

第4段階は総合的なSWOTの考察です。戦略仮説を実現するための「機会」を軸に、戦略転換や事業の重要成功ポイントを探ります。深い考察のためには「機会×強み」・「機会×弱み」・「脅威×強み」・「脅威×弱み」といった検討も有効です。このような分析はクロスSWOTとも言われています。

未来戦略を作成するという観点で、SWOT分析を活かすためには「ポジティブ思考」が重要です。SWOT分析ではともすると、弱みや脅威について議論が集中しがちです。しかし、弱みや脅威が事業を起こすわけではありません。任天堂ケースでふれたように、弱み・脅威を含めてどんな機会を発見し、どんな次の一手を構想するかが重要です。そのようなポジティブ思考力を組織的に磨くことは未来の経営の基本スキルとなるでしょう。また、SWOT分析は、個人でも使える便利なツールです。個人のSWOT分析を使ってキャリア開発につなげることもまた未来の経営につながるでしょう。

〔FMIC: フューチャーマネジメント アンド イノベーションコンサルティング〕