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【ビジネススキル】 未来戦略のススメ

(第7回)ブルーオーシャン戦略
~マクロ分析論から価値創造論へ~

常識はなれてこそ価値創造

未来戦略を検討するうえで、新たな価値の創造は最も重要な課題です。この問題に真正面から向き合ったのがブルーオーシャン戦略です。

ブルーオーシャンとは「独自の価値創造により競争のない市場空間を切り開く」ということからネーミングされています。これに対して、既存の市場空間で機能・価格競争を繰り広げる様子をレッドオーシャンと呼んでいます。

未来戦略を検討するうえで、新たな価値の創造は最も重要な課題です。この問題に真正面から向き合ったのがブルーオーシャン戦略です。

ブルーオーシャンとは「独自の価値創造により競争のない市場空間を切り開く」ということからネーミングされています。これに対して、既存の市場空間で機能・価格競争を繰り広げる様子をレッドオーシャンと呼んでいます。

戦略キャンパス

ブルーオーシャン戦略はW・チャン・キム等により提唱されたものです。初期の段階では"バリューイノベーション(価値革新)"という言い方がされていました。米・ヨーロッパ・韓国等の企業において試行された後、2004年にブルーオーシャン戦略として出版されました。コンセプトのシンプルさとネーミングのインパクトで、今では世界中に知られるようになりました。

ブルーオーシャン戦略では「既存の業界常識」をあえて無視して「新たなトレンドや価値創造」を重視します。例えば、パソコン業界が価格やサイズの競争をしているときに「直販サービス」という価値を持ち込むことで急成長したのがデル・コンピュータです。また、iPhoneは携帯電話を情報端末に変えました。カナダのシルク・ド・ソレイユは動物の曲芸ではなく、人間のパフォーマンスで感動を与えるエンターテイメントサービスにより世界的な団体になりました。

経営戦略論の世界にブルーオーシャン戦略論は重要な価値革新をもたらしました。「マクロ分析論」から「価値創造論」という点です。従来の戦略論は「ポートフォリオ分析」「業界分析」「市場分析」「ポジション分析」等のマクロ分析アプローチが重視されました。

それに対して、ブルーオーシャン戦略では「細かい数字を忘れて森を見る」という発想が重要です。「新たにうまれつつある市場」を鳥瞰図的に考察し「新たに提供すべき価値」を考察します。そのために重要なサポートツールとして「戦略キャンバス(Strategy canvas)」が提案されています。

戦略キャンバスは魅力のあるブルーオーシャンを考察するための道具です。戦略キャンバスは横軸が「対象市場における価値」、縦軸が「各価値を買い手がどの程度のレベルで受け取っているか」を示しています。このキャンバス上に、既存業界と新規業界、他社と自社等の価値曲線を示すことができます。

ブルーオーシャン戦略として重要なことは横軸の「新たな価値要素」の発見です。また既存の価値要素で、あえて重視しないことを決定することも重要です。そのような検討を戦略チームで自由闊達に行なう過程そのものがブルーオーシャン戦略ともいえます。

日本企業においては、もともと「CS(顧客満足)経営」が定着していることもあり、戦略キャンバス等のツールは「そんなことはやっている」「そんなことは細かいことだ」と無視しがちな傾向があります。一方で韓国・三星電子においては世界戦略を検討するにあたり、事業経営幹部自らがこのような道具で議論を深めたことが報告されています。

ブルーオーシャン戦略、とくに戦略キャンバスは事業レベル・製品レベル・日々の業務レベル等、どんな単位でも使える道具です。日々の仕事のなかで、自分にとってのブルーオーシャンを考察することは、本格的な未来戦略の良い準備になるでしょう。

〔FMIC: フューチャーマネジメント アンド イノベーションコンサルティング〕