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2007年

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2007年02月13日 第11号 https://fmic.jp/

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FMICはJMAC(日本能率協会コンサルティング)とドイツのIMIG社による戦略的合弁企業として設立されたコンサルティング企業です。企業の成長 戦略デザインとその実現化プロセスをサポートします。

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~未来開発経営/戦略デッサンノート(9)~
「SHINKA(進化)戦略・バリューチェーンの発見」 
                          FMIC 大岩和男・岩崎壽夫

未来開発経営の基本コンセプトは「未来は来るものではなく創るもの」です。
未来開発経営では、事業戦略革新の方向を考える視点として、SHINKAマップを活用します。SHINKAにはいくつかの種類があるのですが、基本的な視点としては次の4視点です。
  「深化」・・コアコンピタンス深耕戦略
  「進化」・・バリューチェーン発見戦略
  「伸化」・・新規市場開拓戦略
  「新化」・・破壊的新規事業戦略
前回はこの中から「SHINKA(深化)戦略・コアを磨きコアを創る」ということについて、ふれさせていただきました。今回は引き続き「SHINKA(進化)戦略・バリューチェーンの発見」ということについて、考えてみたいと思います。

バリューチェーンという言葉は経営学者のマイケル・ポーターによって提唱されました。ビジネスプロセス全体を、製品やサービスがお客に届けられるまでの一連の付加価値連鎖として考える概念です。この場合の価値とは言うまでもなく、「お客にとっての価値」を意味しています。ポーターはこの価値連鎖モデルとして「購買」「製造」「出荷物流」「販売」「サービス」の5つの主活動と「調達」「技術開発」「人事・労務」「全般管理」の4つの支援活動をあげました。

実務的には、このバリューチェーンモデルの中で、自社の競争優位の分析、他社との提携戦略構想、新たなビジネスモデル検討等に応用されています。多少、後づけ的ですが、企業でよく使われる例題としては、下記のようなものがあります。

①デルコンピュータ:ダイレクトモデルによるバリューチェーンの短縮化
  パソコンの機能や構成部品をモジュール化して、顧客からの注文をインターネットで直接受け付け。商品は組立工場からお客に直送。顧客満足向上、在庫の削減、資金循環の効率化を実現。

②GE航空機エンジン:ライフサイクルコストに着眼したサービス事業の統合化
航空会社のエンジンに対するライフサイクルコスト(生涯費用)は部品・修理・メンテナンスがエンジン単体の10倍に達する、ということに着目して、サービス事業を体系化。顧客満足向上、高収益事業化を実現。

③IBMのアウトソーシング事業:顧客のノンコア業務の切り出しと受託事業化
  ITが企業活動にとって不可欠のものになるにつれて、顧客側では高度な知識が必要になってきた。顧客企業にとっては、必ずしもコア業務とは言えない部分を切り出して、IBMはこれらを受諾して高効率運営サービスを提供。さらに最近では、単にビジネスプロセス上のバリューチェーン論だけではなく、サービス・製品・部品の垂直バリューチェーンによるブラックボック化戦略や、部品技術の水平バリューチェーンによる価値拡大戦略等にも、応用がされてきています。

このようなバリューチェーンの考え方を未来開発経営の視点からみたときに、重要なことは4つあります。
  1つ目は、「議論すること、それ自体が重要」ということです。多くの企業では組織の肥大化に伴い、ひとりひとりはどうしても、狭い業務範囲での発想や情報収集になりがちです。顧客価値、価値連鎖、提供価値、機能別強み等の議論は、事業を進化させるための基本的なヒントや構想を活性化させてくれます。
  2つ目は、「新たなバリューチェーンの発見」です。先に述べた事例を含めて、後づけ的な事例研究は学習過程としては必要ですが、それだけでは“後出しジャンケン”です。将来動向研究・ありたい姿起点で、自社流の新たなバリューチェーン発見議論を行うことは、先人のビジネスモデルを踏襲するだけでなく、自分たちの時代に合わせた、ビジネスモデルづくりの勇気を与えてくれます。
  3つ目は、「実験する」ということです。新たなバリューチェーンやビジネスモデルの提案が出た段階では、それがどのようなものなのか、曖昧なことが多いでしょう。それは、従来とは異なった考え方や発想にもとづいているからです。ブレーキを踏むのは簡単。新たなビジネスモデルとしての可能性があるなら、まずは実験してみる、ということ自体が「価値創出のバリューチェーン」とも言えるでしょう。
  4つ目は、「お客を創造」ということです。ポーターのバリューチェーン論で重要なことは「お客価値起点」言い換えれば「内部思考ではなく外部思考」ということです。新たなビジネスモデルにおいては、初期の段階では、顧客の理解が十分ではない可能性があります。SONYが音楽のネットワーク配信に対する技術・商品・インフラ・コンテンツを持ちながら、事業化ではアップルのIPODに負けたのはなぜでしょうか?巷では「CD制作会社」を持っていたからというのが通説ですが、外部思考的にみれば「お客を変えることができなかったから」とも言えるでしょう。

バリューチェーン分析の議論は、ともすると「現状の分析」に終始しがちですが、より重要なことは、バリューチェーンの視点で未来を構想すること。それを通して、将来のビジネスモデル発見や議論を深めることにあります。未来開発経営のワークショップや研究会では、そのための支援ツールとして「バリューチェーンマップ」「戦略アーキテクチャー」の活用も進めています。今まで蓄積されたビジネスモデルのうえで、改善を行なっていくことも重要ではありますが、変化の激しい現代においては「明日も同じビジネスモデルが通用する」とは限りません。中期事業戦略や次年度計画の最終段階の時期になっていますが、自社のビジネスモデルがどう進化しているか?ちょっと立ち止まって考えてみることは、未来開発経営の一要素でしょう。

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◆◇◆編集後記◆◇◆

オフィス近くの花屋さんで、チューリップを見つけました。「えっまだ2月なのに。。」と思いつつ、自然と顔がほころびます。いつも心に花束を。。
慌しく1月を過ごしてしまいましたが、時にはホッとする余裕を持てればと思います。

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