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2007年

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2007年11月10日 第15号 https://fmic.jp/

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FMICはJMAC(日本能率協会コンサルティング)とドイツのIMIG社による戦略的合弁企業として設立されたコンサルティング企業です。企業の成長 戦略デザインとその実現化プロセスをサポートします。

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~未来開発経営/戦略デッサンノート(13)~
「自ら未来を創るための10ケ条その2:2軸思考」 
                          FMIC 大岩和男・岩崎壽夫

未来開発経営の基本コンセプトは「未来は来るものではなく創るもの」です。
前回は「自ら未来を創るための10ケ条」その1として「一人称」ということについてふれました。今回はその2「2軸思考」ということについて考えてみたいと思います。

2軸思考とはビジネス軸と基盤軸、あるいは短期・長期等の2つの視点から仕事のあり方を考え、2つの方向を同時に強化改善することです。この考え方はJMAC(日本能率協会コンサルティング)のRD&Eコンサルティング活動を通じて体系化されてきました。昔の話で恐縮ですが、バブル経済崩壊等の影響を受けた1990年代前半の企業は市場の縮小や価格破壊に対応してコストをどう下げるか、そのための製品改善や合理化、開発期間短縮等が経営者の”当面”の課題意識でした。

その一方で、自社の開発力や革新力を”将来”に向けて本質的にどう強化していくのか、ということを真剣に考える経営者もいました。コストや開発期間というものさしだけではなく、将来に向けた基盤力も同時に強化して行こうというアプローチに関心をもつ企業とのコンサルティングの現場から「2軸思考やその実践法」が生まれてきました。

現場における2軸思考の具体的な例題を下記に示します。
①商品開発の場をモノコト革新の場へ
  商品開発プロジェクトの成果は何でしょうか?ある会社では「新商品そのものの売上や収益・品質・コスト・効率」等に焦点をあてます。またある会社では「売上・収益・品質・コスト・効率」等のビジネス指標は当然ながら、加えて、「そのプロジェクトで何が変わったか、誰が育ったか、どんな技術が磨かれたか」等の基盤力にも焦点をあてます。商品開発プロジェクトの「場」はたくさんの人々が参加する共創の場です。その場を単に「モノ」を生み出す場としてではなく「モノコトづくり」の場と考えることが2軸思考です。

②仕事と改善の一体化へ
  現場での改善活動に取り組んでいない企業はありませんが、大きく分けると、2つのタイプがあります。ひとつは「やらされ型・仕事と改善は別物型」というような雰囲気の会社や組織です。「忙しくて改善なんかやってられないよ」というような声がなんとなく聞こえてくる会社です。もうひとつのタイプは「仕事と改善が完全融合型」の会社です。仕事をしながら改善を考える、考えた改善をすぐに実行してみる、結果成果はもちろん、そのプロセスを楽しむことができる組織です。「すごく忙しくなるから、今度はこんな工夫をしてみよう」というようなことがことが自然にできる会社や組織は2軸思考ができている組織と言えるでしょう。

それでは、未来開発経営における2軸思考とはどんなことでしょうか?
企業活動における今日の業績はほとんどの場合、先人の努力の結果です。ということは、今日の業績だけに焦点をあてていては未来は無いとも言えます。
「未来は今日始まっている」このことを真剣に考えることができる組織には、
・未来を展望した志やビジョン
・志を実現するためのギャップの認識
・そのギャップを克服するための工夫や挑戦
を自分ごとで考える人が多いように感じます。未来開発の重要性を否定する企業や組織はありませんが、考えてみるべきは「その姿勢」です。「とにかく目の前の課題に集中して、ゆとりを作ってから未来開発へ」というような逐次型では、未来開発は永遠の課題になるでしょう。

ビジョナリーカンパニー(コリンズ著)では、長期成長企業のひとつの要素として「ORの抑圧・ANDの才能」という概念が提唱されています。長期的に成長する組織には、「収益と成長」等、一見矛盾に見える2つのことを同時に挑戦すべき課題と捕らえる習慣がある、ということが実証的に説明されています。日々の企業活動はどうしても今日のことに忙殺されがちになりますが、そのようななかでも、「今日の仕事の中に、いかに未来づくりを織り込むか」「そのためにどんなブレークスルーを工夫するか」というような同時思考型が未来開発経営における2軸思考と言えるでしょう。

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◆◇◆編集後記◆◇◆

11月9日まで読書週間でした。今年の標語は「君と読みたい本がある」
「本は一人で読むものだけど、誰かと読めばもっと楽しい」という気持ちで作ったものだそうです。誰かに勧めてもらった本で、これまで知らなかった世界が広がることがあります。秋の夜長によい本に出会いたいと思います。

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