未来づくりの知恵袋

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未来戦略シナリオ

 

【ビジネススキル】 未来戦略のススメ

(第12回)未来づくりを始める
~未来からの発想で行動を起こす~

今日の行動 明日をつかむ

未来戦略のすすめも最終回となりました。今回は、未来戦略の実践ということについて考えていきたいと思います。未来戦略を描くためには大きく分けて2つの方法があります。一つ目は、過去・現在から未来に向けて、環境変化やトレンドを予測し、ここに対応するためにどうするかという延長型思考法「未来への思考」です。

また、もう一つは、未来にどうなりたいかという姿を描いて、そのために現在は何をやるべきかという方法、いわば将来変革デッサン「未来からの思考」です。未来戦略のコンセプトはどちらかといえば「未来からの思考」に軸足をおいています。

未来から 未来へ

「未来戦略」の重要性について、日本能率協会コンサルティング(JMAC)の浅野隆社長は次のように語っています。「昨今の不況を抜けた後を想像してみましょう。すると、事業環境はこれまでの延長線上にないことは自明です。従来の日本的経営の良さを活かしつつも、業際を越えたダイナミックな価値創出が求められています。グローバル化の水準も様変わりします。経済環境悪化の現在を好機ととらえて、未来戦略に取り組む必要があります。」

また、今回の「未来戦略のすすめ」連載を通じて、読者から次のような声が寄せられました。①今日の経営と未来の経営という2つのフレームワークで経営をみなければならないことがわかった②既存経営管理手法も「未来戦略」の視点で使うことで、見える世界が違ってくる。③SHINKA戦略(深化・進化・伸化・新化)、特に「新化」の重要性に気がついた。④ポジティブ・前向きな考え方が未来を創ってきた等。

「未来は来るものではなくて自ら創るもの」という考え方が未来戦略シナリオの基本です。「未来」とは単なる夢物語や絵空事ではありません。それは思考であり、行動です。日々の仕事は忙しいが、そのようななかにあっても、志をもった仲間が集まり、自社や社会の未来について語り、ビジョンを描き、革新が実行されていくことが未来戦略です。

日本人は創造力がない・日本企業は改善はできるが、独創性に欠ける・日本企業は内向きで世界に通用しない・最近の若者は言われたことしかできない・・テレビを見ると毎日、そんな話をしています。

しかし、私たちはそうは思いません。企業の現場では、今日も明日への挑戦が続いています。未来思考の経営者がたくさん育っています。最先端の技術を研究している若者がいます。地球環境問題に立ち向かっている人々がいます。21世紀の企業のあるべき姿を考えている人がいます。世界との交流を深めている人がいます。地域の活性化に取り組んでいる人がいます。そのような元気で前向きな人々に毎日、現場で会います。

問題点を議論することはたやすいでしょう。未来を構想することは難しいでしょう。未来づくりへ踏み出すことはもっとむずかしいでしょう。①問題点議論ではなく可能性議論へ、②評論ではなく行動へ、③三人称(他人事)ではなく一人称(自分ごと)へ。

今回の連載を読んでくれた方々が「未来とは来るものではなく、自ら創るものなんだ」という当たり前のことに共感してくれて、仲間をつくり、よりダイナミックな未来づくりが始まることを期待しています。もちろん、私たちも"一人称"で、企業の皆様と一緒に未来づくりに参加します。日本企業の未来戦略思考力が格段に向上し、より豊かな社会づくりに貢献する。それが未来戦略の未来です。ご愛読いただき、ありがとうございました。

〔FMIC: フューチャーマネジメント アンド イノベーションコンサルティング〕