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FMICメールマガジン第112号(2022.1.24)

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                    「イノベーションの想像」第4回
              ~デートの車運転中に閃いたPCR検査の原理~

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 こんにちは。毎日のようにコロナ感染者数が新記録とうれしくないニュースを 聞きます。日本のコロナ第5波のピークは昨年8月20日で、新規感染者25,992人、 その日のPCR検査166,663件、その比率16%でした。1月20日は新規感染者は 46,199人、PCR検査116,878件、比率40%でした。そんな中、今朝のニュースで 「厚生労働省専門家組織は、検査や外来が逼迫している中で、若い人は検査をせず に臨床症状だけで新型コロナ診断できるよう変更を求めた。ただ提言案には、症状 だけでどう診断するかは明記されていない。」とありました。
 2年前にコロナパンデミックが始まってからPCR検査体制強化が言われていたの に、相変わらずPCR検査体制ができていない日本って何でしょうか。
 ところで「イノベーションの想像」シリーズの最終回は、そのPCR検査に纏わる 話で、キャリー・マリス博士を取り上げます。今、コロナパンデミックの中で、 ウイルス感染の判断はPCR検査によってなされてきました。そのPCR法を発明し、 それでノーベル化学賞を受賞したのが博士です。今回は、彼のイノベーションアイ ディアの閃きを振返ってみます。

1)なぜ閃きは起こった?
 彼の発明したPCR法とは、遺伝情報DNAを増幅させるポリメラーゼ連鎖反応の ことです。これを使うとDNAが、10回で1,000倍、30回で10億倍に増幅でき、 様々なDNAの検査、試験が容易になります。

Before -1)発想を自由にする間
 彼は1983年にPCR法を考えだしました。そのアイディアを閃いたのは、恋人 とのデートで車を運転している時です。別荘に向かうワインディングロードを見て いると、DNAのらせん構造がほぐれていくような光景が閃き、コンピュータでプロ グラムするようにDNAをルーチンで複製させるアイディアになったそうです。

Before -2)知の蓄積と共創
 彼はPCR法が、既知のことと確認済みの方法を組み合わせるだけでできると 思ったそうです。既知のこととは例えば、「自然界のDNAは合成できないが、 DNAの1断片であるオリゴヌクレオチドは簡単に合成でき、それはDNAと結合 できる」であり、確認済みの方法とは「一本鎖DNAの上に結合させた合成オリゴ ヌクレオチドをもとに、DNAを複製して二本鎖にする」、「二本鎖DNAに熱を 加え二本の一本鎖DNAに分ける」などです。即ちその分野の専門的知識があれば、 発想が可能だということです。またそれらの反応サイクルを繰り返すのは、とても 面倒なことだということも分かっていました。一方で彼にはコンピュータプログラ ミングの知識もあったそうです。

Before -3)発想を膨らませる志
 彼は、仕事に関して『大きくて素敵な問題を抱えていた』と述べています。DNA 配列解読を簡単にできれば、遺伝子異常の予測や回避等の医学にとても役に立つ。 それだけでなく、人類文明の未来の理解につながると。とても大きなビジョンです。

2)なぜ閃きを活かせた?
 彼のひらめいたPCR法は、既知のことと確認済みの方法の組み合わせでできて います。彼と同じような技術、スキルを持ち、このアイディアを閃くことが可能な 人はいると思われます。その中でどうして彼だけが、そのアイディアを世の中に 出せたのでしょうか。そのヒントを求めて、次に閃きの後を振返ってみます。

After)アイディア熟成と実験検証
 彼は週明けの月曜日に文献調査をして、その方法をまだ誰もやっていないことを 確認しました。次に彼の所属する研究所内のセミナーでそのコンセプトを発表しま したが、1~2名が「面白い」と言っただけでした。また彼の友人、同僚の誰も 「凄い」とは言わなかったそうです。  しかし彼はその後、実験でその方法を検証します。助手と二人で方法を改良しな がら実験を続け、3か月後にようやく成功第1例ができたそうです。

 いかがでしょうか、3つの事例のどれを見ても、イノベーションのひらめきは 誰にでも宿る可能性があるように思えます。ということは、そのひらめきのチャンス を上手く作ること、そして閃いたアイディアを上手く生かすことが、想像力強化の マネジメントとして重要となります。
 少し間を置きますが、『イノベーションの想像』シリーズ第5回として、その マネジメントについて考えてみます。

                    (FMIC シニアコンサルタント 下垣彰)

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